JakartaEE と DolphORCA

おかげさまでネット上では『OpenDolphin -wikipedia 風解説-』がなぜか支持されているようだ。

元々は、ドルフィンのソースコードを眺めていた時に、(従来は)開発者認定されていない人の署名を見つけて、ちょっとびっくりしてそこらへんのことをまとめておいただけの記事だった。
が、その後も報告が断続的に集まり続け、その都度書き足していったら、現在の形態になったという経緯だ。

こういう斜めから入ったような記事でも、それなりに読まれたりするものなのですね。

意外な気もするが、納得できるところもある。

ところで、OpenDolphin の件で若い人から言われて印象に残っているのは、

現在の Java や JakartaEE の各仕様を使えば数行で処理できるところを、何でその十倍くらいのコードで(しかも)不自然に処理しているんですか?

という指摘だ。

正直、きっつ。。

まあ、一言で言えば、データ構造修正とコストとの兼ね合いの問題ですね(汗)。

データ構造の限界やその処理方法の古さは、われわれも認識はしていたが、ひとたび、データ構造に手を入れ始めると、それを内部的に処理している部分も変更せねばならず、そのコストが(修正した)利益に見合わないとみていた、というのが答えといえば答えになるでしょうか。

なんか、うまい説明になってないか。。。

ここら辺で興味深かったのは、某先生の判断と立ち回りだ。

ギリギリまで OpenDolphin 2.7 のデータ構造は維持し続け、変え時と見たら一気に変えてしまった。
(ここら辺の流れは、ここあたりから始まる一連のツィートを参照。)

この「変えて」しまったものが DolphORCA なんだが、設計の基本コンセプトからしてドルフィンとは大きく異なっている。

DolphORCA で採用された三層クラサバ構成に関しては『DolphORCA と三層クライアントサーバシステム』が良い案内になっている。

また、(直接、DolphORCA には触れられていないが)電子カルテ系と画像系のデータ構造の相性の悪さに関して

なぜ、全国統一カルテは無理筋なのか?
-カルテ系と画像系のデータ構造の本質的な相性の悪さ-
(EHR-DICOM data structure mismatch)』

という記事にかなりわかりやすく書かれている。
DolphORCA のデータ構造は、これらの考察を踏まえてかなりシンプルで使いやすいものになっている。
ここら辺の分野に興味のある方はぜひ一読をすすめる。

 

 

モヤっとしたことなど

ネット上を彷徨っていると、気になることやモヤっとすることも多い。

思いつくまま書き留めていく。

2022-2023 年越し

小山哲夫とかいう人のこれはさすがに不味いでしょ。

結構な人が指摘しているが、2019 にもなってこのツィートはないよなあ。

 

2022 夏頃

オープンソースの電子カルテに関する tweet

ここから始まる一連の tweet 。

そのときは「こういう意見もあるのか」と流していたのだが、いわゆる「大学人」のイヤらしさとかダメさ加減がそこはかとなく出ている感じなので、取り上げる。

まず、OpenDolphin がダメな理由が「現在の Java のバージョンより古い」としているところ。
間違いではないんだが、違和感ありまくり。

というのは、現行の Java 開発環境に対応させるための改変は大して難しくないし、改変して使っている人がけっこういるから。

実際、こんな動画も上がっている。

今、見直したが、サーバーの起動から実に丁寧に記録・提示されてますね。

こういう情報を(意図的に?)無視して「古い、古い」というのは、ちょっとおかしい。
というか、単純には「私には Java コードを改変できるだけの能力がない」というだけのことなので、本当に気になるようだったら、質問なり何なりすればいいだけの話。

 

で、持ち出してきたのが omcake というソフト。

紹介するのはけっこうだが、すかさず「ログイン認証の機能がないから電子カルテの要件を満たしていない」という突っ込みが入り、撃沈。

さらに某先生から「ログイン認証にはセッション使えばいいよ」とサジェスチョンされたにも関わらず、まるっきり反応できてない。

一体、何がやりたかったのか???

WebDolphORCA

逆になんか「得した」と思われる事柄。

omcake の時に、某先生がログイン機能を提示したのだが、ここから WebDophORCA に展開していく流れ。

ログイン認証の実装などは大して驚かなかったのだが、『OpenDolphin は「真正性」すら満たしていないかもしれない』という考察記事は興味深かった。

これ、ポイントは「OpenDolphin は記録の保存には hibernate を使って blob を操作しているが、hibernate を使っている限り、blob を直接操作してデータを書き換えると、OpenDolphin のシステム自体はデータ操作(改竄)されたことに気がつかない(=検知することすらできない)」というあたりです。

よくもまあこういうケースを思いつくもんだと。

現状での現実的な回避策も示唆しているので、こういったことに興味のある人は(難解かもしれないが)一読を勧める。

 

 

Save the DolphinS -OpenDolphin データ抽出ツール・プロジェクト-

久しぶりに電子カルテ OpenDolphin-2.7m(実質的には OpenOcean 0.0.1 と一緒)を臨床現場に投入するかもしれないということで、データ抽出ツールも数年ぶりにテスト稼働させる。
開発言語である Java のバージョンも上がっているし、まるっきり動かないかと思っていたら、そうでもなかった。

細かいところではもちろん不具合はあるのだが、データベース(PostgreSQL)に永続化されているカルテ記載内容を OpenDolphin を経由せずに取り出してくれた。
ちょっとほっとした。

なんで、こういうものが必要なのかは一般の人にはわかりにくいと思うが、電子カルテには縛りがあるためだ。具体的に気にかけておくべきは

・カルテ自体に保管義務がある
・電子カルテには3要件(真正性・見読性・保存性)が求められている
・3要件自体はガイドラインで罰則はないが、e-文書法(電子文書法)が適用される場合には罰則の対象になる可能性がある

の三つくらいだろうか。

ここらへんの解説は『OpenDolphin と電子カルテの3要件とメドレー』あたりを読んでみてください。

3要件のうち面倒なのは「真正性」というやつで、

電子カルテのデータを例えばデータベースに保存する場合、「誰が」書いたのか、その後「いつ、誰が」改変(あるいは消去)したのか、わかるような特別の仕組みをつくりこんでおかなければならない

とちょっとややこしい。
たいていの場合、ユーザーにシステム上の記録の「消す」作業に制限をかけることでこの条件をクリアしていると思う。こうしておくと、電子カルテ画面上である表現を削除したとしても、削除する前のバージョンは残っているので、データベース上にはこの一連の経過が残ることになる。
システムレベルで「上書き保存」ではなく「別名で保存」を採用しているといえば伝わるでしょうか。

だが、こういう作り込みをしてようやく「真正性」をクリアしたとしても、問題はまだ終わりではない。

何か問題がおこって、例えばカルテ開示を求められたような場合、そのカルテの(日付上は)最新の日時のバージョンを提示してもそれだけでは厳密にはカルテ開示したことにはならない。
想像つくかと思うが、医療者側に都合よくカルテ記載内容が書き換えられているかもしれないからだ。
この場合は、正しくは、通常使用では見えない状態になっている「消された表現」の部分も提示する必要がある。

実際、上の例でもこの患者さんのカルテは3件だが、途中経過版を含めると11件になっている。

MML 出力(という外部出力機能。ただし MML 規格はほとんど普及しなかった)を引き受けるサーバがない状態での OpenDolphin は、果たして電子カルテの3要件を満たしているのか?という疑問は実際よくあがっていた。

最近(2021 あたりからか?)では、保健所の個別指導あたりでもこの程度の開示は求められることがあるので、もはやこういった機能(途中経過版の抜き出し・修正履歴の出力など)の実装は必須だろう。

ローカルで稼働する OpenDolphin は、商用での開発が止まったため、自力運用する場合には、ここらへんの配慮をする必要があるのだ。

 

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(追記)データ移行ツールですが、出力形式を html にも対応させました。

ですが、これは保管・閲覧向きだと思うので、移行ツールから独立させ、OpenDolphin Viewer という別のソフトとしました。
開発状況などは『OpenDolphin HTML Viewer プロジェクト』をご参照ください。

 

医師免許持ちで臨床をまったくやらない人はそれなりの理由がある場合が多い

それほど強く主張するわけではないが、この記事のタイトルみたいなことは医師界隈ではそれなりのコンセンサスは取れていると思う。

もちろん、ガチガチの基礎系の場合、意識的にやってないという人はいる
(それでも当直や老健あたりの診察業務程度ならやっている人が大半だと思うが)。

結論から言うと、キャリア初期に臨床畑に進もうとして果たせず、その後、臨床業務から離れている人は、それなりの問題を抱えている人が多い。

具体例を挙げるとわかりやすいでしょうか。

何ら経験がないのに患者さんの同意も得ずに難度の高いオペを施行して、当然、失敗。さらにそのことを隠蔽、裁判沙汰になっても自分の非を一切認めない医師。(これに近いことはたまにニュースにも取り上げられてますよね)

患者さんとまったくコミュニケーションが取れない医師。(そんな医師いないと思うでしょ? でもいるんですよ、実際。今だと面接でハジかれるとは思いますが)

・・・などなど。

で、こういった医師は、臨床現場の主流からオミットされ、いつの間にか消えているというか、行方知れずになっている場合が多い。

ところで、先日、フェイザーの方々が、こんなコメントの投稿などに関して注意喚起の記事を公開した。

著作権法違反が疑われるコメントの掲載はできかねます

細かいことには触れませんが、ここに至るまでに警告のようなことは発していたのに小林さん完全無視でしたから、しょうがないと言えるでしょう。

私も某MLに入会しようとしたとき、管理人の方から「小林慎治は喧嘩売るような感じできますから、気をつけてくださいね」とアドバイスをもらったことはある。

快く思っていなかった医師は多かったようですね。

 

ANN2b

(追記)これは某掲示板の書き込み。
出どころが出どころなので信頼性に乏しいし(まず、なにより「医者の資格はない」というのは明らかな誤り。愛媛大学第一内科に所属していたれっきとした医師)、この「小林慎治」が件の小林さんと同一かという保証はないんですが、医師-患者の信頼関係ができていないと、こういった感じの悪評立てられますね。(実際は、単なるちょっとした行き違いで患者さんが逆上して、腹いせに勢い任せで書いた、なんてのが多いんですが)

精神科なんて、こんな話は山ほどあるんで、いちいち気にしてたら身が持たないです(苦笑)。

(追記)これはある方tweet 。真偽のほどはわかりませんが、こういうことは医療現場ではよくあります。


それはともかく、旦那さんが受けた治療に大変深い憤りと不信感を持たれていることは伝わってきます。
このような事態を未然に防ぐのも医師の務めだと私は思っております。