おお、ゲフィチニブ。なんですが、問題はゲフィチニブそのものではなく、ゲフィチニブによって惹き起こされたと考えられる肝障害の対応に関する問題。『グリチルリチン酸の副作用ー偽性アルドステロン症』が頭にあれば、問題文にある低 K 血症、高血圧、浮腫の原因はグリチルリチン酸の配合錠と推定でき、選ぶべき選択肢は 1 とわかる。
「人によっては変な感じを持つかもしれない。原因は ① 現実的にこの状況がおこりえるのかという問題設定、その上で ② 医師-薬剤師間のコミュニケーションが妥当かという点」
でしょうか。
①に関しては
「設定的に肺がんを外来でフォローしているようだが、これは医師の中でもそれなりに技術・経験を持った医師しかやらない。そのような医師が、これほど見え見えの副作用を見逃すことがあるだろうか? この処方内容だけみたら、むしろ、何らかの事情で、グリチルリチン酸製剤が外せず、低 K 血症の補正が必要な患者さんなんだろうなあと思ってしまう」
という感想を持った。その上で、②に関しては
「ぱっと見、不自然な処方を二か月近く続けているわけで、実際的には、こういう場合、何らかの理由があると考える方が自然。ある程度臨床慣れした人なら、職種に限らず、まず、患者さんからの情報収集を試みるのが自然じゃないかな。例えば、どういった経緯で外来フォローになっているのか?とか、肺がんの進行度はどの程度なのか?とか。細かいことでいえば、下痢や嘔吐はしてないか?とか(筆者注‥これで、消化管からの K の流出をチェックする)。薬剤師だからといっていきなり主治医に対して処方提案するのはちょっと現実的じゃないかも」