無症候性感染者が増えると感染爆発がおこるリスクが増大する

SNS でけっこう支持されたようなので、加筆・修正の上こちらにも転載。


感染症の数理モデルに興味持っている人意外に多いなと思ったんで、ちょっと書きます。(なお、私は感染症の専門家でもなんでもないです)

まず、感染症の数理モデルは既にいくつかあります。有名なのは SIR モデルや SEIR モデルでしょうか。https://ja.wikipedia.org/wiki/SIR%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
あたりを参考に。


何やら、小難しそうですねw

でも、このように数学的に定式化することの利点はあって、それは計算機でシミュレーションできるということです。
ブラウザで使えるシミュレータも用意してあります。
よかったら
https://covid19-seir-model.netlify.app/
で遊んでみてください。

具体的な数値をどう入れていいかわからないって方は下図を参考にしてください。
現在の日本のコロナの感染状況を念頭において1億人の集団で、100万人感染者(緑)がいた場合に設定してます。

R=5.0
R=2.5

R をどう取るかが悩ましいのですが、ここではピークがどう変わるかわかりやすくするため R=2.5 と R=5.0 としました。(実際にはちょっと前-2020/12-で 1.1 。年明けの今はもうちょっと増えていると思います)
なお、ここでは簡便のため R=β/γ としてます。
γは定数(1/γ が平均感染期間)なので、β(感染率)を変化させることで R をコントロールしよう、というのが感染症コントロールの基本です。(私は感染症の専門家でもなんでもないので、日本の「専門家」とは説明の仕方が違うと思いますが、たぶん、数式的にはより忠実にモデルにそって説明していると思います)

ここまででも日本の感染症対策の問題点は幾つか出てくると思います。

・感染者を大雑把に100万人としたが、日本は検査絞り込んだおかげでこの推定が精度よくできない

・モデルとしてはβの方が本質的だが、一部の「専門家」がRtを重視しすぎたせいで、モデルに遡った考察ができにくくなっている

(R が固定値ではないのは理論に遡って考えると明らかでしょう。ウイルスが遺伝子レベルで変異をおこして感染力が変化した場合はもちろん感染のフェーズが変わっても後述するようにRは変化するはずです)
などなど。

一部のコロナ「専門家」と私が見解が異なるのは、「無症候性感染者が増えると、単純な接触制限しただけでは春先(第一波の時)ほど効果は出ない」という点です。

例えば、ある人が10人に接触したとして、そのうちの1人のみが感染者だったとする。その1人を検査で確定して隔離してしまえば、残りの9人といくら濃厚に接触しようが感染の拡大は起こりません(第一波の頃)。
ところが、9人のうち2人が実は「隠れ」感染者だった場合(現在これに近い状態になりつつあると私は思います)、今、注目している1人も感染する可能性が高くなります。もちろんこの場合は感染拡大は止まらないでしょう。

それはともかく、感染が急激に拡大しているときに過去データの延長(外挿)で Rt=1.1 として計算するのはちょっとおかしい・無理があるというのはご理解いただけるかなあと思います。

ついでで言っておくと、外国では年齢別・地域別にβなどを細かく設定して微分方程式に踏み込んでシミュレーションしてます。

駄文長文、失礼しました。

 

猪股弘明
医師:精神科(精神保健指定医)
HorliX, OpenDolphin-2.7m 開発者


? 参考
そもそも SEIR ってなんぞやって人は
感染症数理モデルの基本 SEIR をなるべく数式に頼らず直感的に理解する
をどうぞ。

? 質疑応答(某所ではこんな感じでした)
Q シミュレーションをどう活用したらいいか?

A シミュレーションってやりっ放しってわけにいはいかず、大抵の場合は検証作業が必要です。なのですが、現在、これはできにくい状況になってます。

例えば、今日(2021/1/14)の東京都の陽性者数は 1502人ですが、検査件数は(確定ではないが)3849 件。単純に陽性率計算すると 39%ほど(集計フローの混乱なのかちょっと高いですね)。検査件数が 10000件なら、3900人陽性者になる。

単純な SEIR シミュレーションで出てくる数値は、対象とした集団のなかでの暴露者数や感染者数だから、検証のためには「感染者数」の確定数値か無作為抽出に近い「陽性率」どちらかがわかっている必要があります。

Q 広島の取り組みについて、全否定されてるドクターがコメントされていました。PCR検査を確定診断するものであってスクリーニングするものではないと。

今後の検査ポリシーで何が正しいのかって難しいと思いますが、経路不明が過半数を超えた時点で、濃厚接触者中心の疫学的調査ってそれほど効果ないんですよ。

これダメなのは、分科会の「専門家」が「今は市中感染がメインとなってきたから、今後は◯◯の検査に切り替える」ってはっきり言わないことです。

Q なんとなくですが、市中感染が広がってるという事というのかクラスター潰しからの次の戦略への移行を分科会は認めたくないの?っていう印象を受けてるんですね。

A 認めたくないって言うのもあるだろうし、そもそも分科会のメンバーの能力を疑問視している医師は多いですよ。

例えば、上の SEIR でも大雑把な方針は見えてくるじゃないですか。上では単純に E としたけど、現実的には「潜在的な陽性者」あたりがこれに該当する。これがある程度数値的に評価できていないと次にどうなるって予測ができないし、政策への提言なんてのもできない。
「市中感染がこれくらい広がっているから、規制を強化しましょう」とか「緩和されてきたので、自粛対象を縮小しましょう」とかってのが、今、一番必要とされていることじゃないですか。
広島はそれを「特定地域の全数調査」で確かめようとしているし、厚労省の一部は「市街地での不特定多数への検査」で概数を掴もうとしている。やり方の良し悪しはともかく意図は明確です。
でも、これ、本来は分科会の専門家が率先して言わないといけないことですよね。

臨床現場だとなおさらそうですが、そういう想像力が働かないリーダーって無能扱いされるんですよ。

ORCA, OpenDolphin, OsiriX は三種の神器だったのか?

– ORCA, OpenDolphin, OsiriX は三種の神器だったのか?

ある時期まではそうだったと思う。具体的には 2010年代前半あたりまでは。

ORCA(オルカ) というのは、日本医師会が主体となって開発が進められたレセコンソフトで、その当時はこれ一台で診療所レベルならば会計から保険(電子)請求まで用が足りてしまった。ただし、操作性には若干の難があり、現実的にはオルカと連動する電子カルテと組み合わせて用いられることが多かったと思う。OpenDolphin (オープンドルフィン)は、その代表格で 2013 年前後はかなり導入されていたようだ。OsiriX (オザイリクス)は、ご存知、DICOM ビューアだ(簡易な PACS 機能もついている)。当時はかなり安価に入手できた。

当時は、どれもオープンソースでソースコード自体が「一般」公開されていたので、スキルとやる気さえあれば自前でインストールできて、よほど凝った使い方をしなければ、クリニックでの自力運用も可能だったように思う。レセコンソフトとそれに連動する電子カルテと画像ビューアがほぼ無償で手に入ったのだ。新規に開業する医師にとっては、非常に心強いものであったと思う。

これはそれ以前の状況と比較するとわかりやすいと思う。

ORCA 登場以前は、メーカー製レセコンや電子カルテは「5年で300万」くらいが相場で、クリニック経営上はかなりの負担になっていた。画像ビューアは、若干事情が違っていて、そもそも OsiriX あたりに相当する製品はなかったように思う。病院の放射線科で画像診断に使われるようなビューアとなると軽く100万は超える。小規模なクリニックだと、「外部で撮像された画像をチェックする」程度しか使わないので、そういうメーカー製ビューアは明らかにオーバースペックだ。

だから、ORCA-OpenDolphin-OsiriX というのは、それぞれが強力なツールだったし、三つあわせれば非常に「頼りになる」枠組みだったのだ。

では、現在ではどうだろう?

まず、OsiriX だが、現在でもオープンソース(OpenSource: OS)版は開発されているとはいえ、OS バージョンをそのままビルドしても商用版の OsiriX MD になるわけではない。だから、現在のプロジェクト自体を以前の OsiriX の延長と考えるのは無理があるだろう。実際、各国で医療機器としての承認/認証を受けていることからわかるように、「医療機関向けの医療用ソフト」にコンセプトを変えたと見る方が妥当だろう。
病院勤めの臨床医/研究医がお手軽に OsiriX で患者さんの画像をチェックするというような使い方はもうできないと思う。

次に OpenDolphin だが、いわゆる「本家」の開発元が2020年上半期に LSC(ライフサイエンスコンピューティング)から medley(メドレー)に移った。
メドレーは、
・クラウド版を重視
・オープンソースとしてのプロジェクトという認識が希薄
なようで、今後は dolphin-dev の github リポジトリのソースコードが更新されるというのはちょっと期待できない感じだ。実際、OpenDolphin は開発の経緯もあるためだろうかメドレー自体「オープンソースである」とは明言していない。
(→結局、LSC での販売も正式に終了し、メドレーも普及させる意図はないようなので、実質、この系列からの商用版の利用はできくなったと考えてよいでしょう)

最後に ORCA。これはオープンソースであるが、開発言語やミドルウエアなどが独特で、ソースコードからビルドして使っているという医療関係者はほぼいなかったと思う。そこにきて、オンプレミス版(クラウドタイプではなく、院内 LAN でローカルで走らせるタイプ)が一部有償化されてしまった。医療機関で新規導入をはかる際には有償契約がほぼ必須だろう。
やはり、これも「ちょっと使ってみる」といった使い方はできなくなったように思う。

だから、これらソフトは、現在としては 2010年代前半のように「これ使ってれば間違いはない」といったような、絶対的な存在ではなくなったように思う。
最初の問題提起に戻ると、ORCA-OpenDolphin-OsiriX という枠組みはもはや「三種の神器」とも言えるほど特別な存在ではなくなった、というのが私なりの感想めいた結論だ。

 

猪股弘明(医師:精神科:精神保健指定医
OpenDolphin-2.7m, HorliX 開発者

⭐️ 参考
OsiriX Lite の現在
ORCA
OpenDolphin-2.7(m) と ORCA について
OpenDolphin について
OpenDolphin と電子カルテの3要件とメドレー
OpenDolphin -wiki 風解説-

SARS-CoV-2 と分子生物学とバイオインフォマティクス

SARS-CoV-2 のウイルス学的・分子生物学的特徴。

構造

出典はここ

塩基配列

Wuhan での初期のウイルスの塩基配列はかなり早い段階から解読されていた。例えば、最後の方の配列は下図の通り。
ゲノムサイズは 29903 bp と割と大きい。

 

塩基配列(3文字)→アミノ酸

塩基配列がわかっているのだから、当然、対応するアミノ酸もわかる。
Spike (イラストでよくトゲトゲとして描かれている部分)を形成しているタンパクの一次構造は以下の通り(長いよ)。

M=Methionine(メチオニン), F=Phenylalanine(フェニルアラニン), V=Valine(バリン)… などと読む。

MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT

出典はここ

 

(続く)

猪股弘明(医師)

 

COVID-1 -中国でのトリアージ-

前にも述べたが、COVID-19 の(臨床での)PCR検査はそれほど感度は高くない
日本はその使い方に慎重だが、逆に信用しぎてまずいことになっている国がある。お隣、韓国だ。

高危険群の死亡、どう防ぐ…「高齢者、基礎疾患者の優先検査を」

とさすがにメディアからも批判の声が上がっている。「疑い」扱いの人に検査して陰性だったら、その人は安心して外に出歩いてしまう。実は、偽陰性でした(=感染していました)、というのはかなりまずい。

 

一方、現在では収束に向かいつつある中国では、医療者の悪戦苦闘していいるうちにかなり臨床的なトリアージ法が確立されたようだ。

Therapeutic and triage strategies for 2019 novel coronavirus disease in fever clinics. LANCET, Zhang et al.

トリアージのフローはこんな感じ。

SpO2 や体温でスクリーニングした後、CTとCRPで患者を確定している。

なるほどなといたく感心した。

 

なお、CT の感度などに関しては

Correlation of Chest CT and RT-PCR Testing in Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in China: A Report of 1014 Cases. Radiology, Tao et al.

をご覧ください。

なお、COVID-19 というのが傷病名(病気の名前)です。いわゆる新型コロナ感染症。ウイルス自体は、SARS-CoV-2 と言います。

 

猪股弘明(精神科医)

 

COVID-19 -PCR検査の感度・特異度など-

2020年3月現在まだまだ世間を賑わせている新型コロナであるが、PCR 検査の感度・特異度が話題になった。

けっこう高名な先生でもあからさまに間違えている例もあり、某所で教育目的でごく基本的な問題を出したら、それなりに好評だったのでこちらにも転載。


問1 一般的に臨床検査の結果は必ずしも正しいとは限りません。検査結果をどの程度信頼すべきか?を示す指標として、感度・特異度などという概念があります。

下の表をみて( )に当てはまる語句を埋めてください。

1. a/(a+c)を( )という。

2. d/(b+d)を( )という。

3. a/(a+b)を( )という。

4. d/(c+d)を( )という。


まずは、定義。

答えはよく知られているように

1.感度
2.特異度
3.陽性的中率
4.陰性的中率

です。定義知っていれば答えられる問題なんですが、問題の前提や意味を取り違えるとこの後の理解が覚束なくなる。

前提として、疾患の有り無しは確定していると考えます。現実的には、他のより精度の高い検査をしていれば、疾患の有無はわかるので、こう考えて問題ないわけです。


問2 風邪っぽい症状を呈した100人の患者さんがある医療機関を訪れました。このうち20人は新型コロナ感染症だとします(a + c = 20[人])。検査はPCRを用いておこないます。新型コロナに関する感度・特異度は、それぞれ 70%、90% です。

1. a, b, c, d を求めてください。

2. 陽性的中率はいくらになるでしょう。


感度:a/(a + c)=a/20=0.7 より a=14
特異度:d/(b + d)=d/80=0.9 より d=72
a + c = 20 より、c = 6。b + d = 80 より c = 8。
結局、a = 14、b = 8、c = 6、d = 72。

感度・特異度は、その定義から言って、ある検査がどの程度確からしいか(陰性だった場合には、どの程度除外できるか)を示す指標です。
ただ、患者さん側からすると「検査陽性のとき、それはどの程度信用していいか」の方が関心高いので、
陽性的中率=a/(a+b)
が重要になってきます。
陽性的中率は、14/22 = 0.6363… となって 64 %。

なお、この問題設定は、けっこう話題になったある方の「呟き」からきています。

問題あります。
陽性的中率に何か勘違いがありましたしたかね。


問3 以上の簡単な計算により以下の表が得られました。

一般に、検査陽性であっても罹患していない受診者もいます。これを( 1 )と言います。逆に、検査陰性でも実はその疾患にかかっている人もいます。こちらは( 2 )と言います。

(1)、(2)を何というか。


(1)は偽陽性、(2)は偽陰性です。

このケースでは偽陰性が多いのが特にたちが悪いといえます。100人検査した場合、6人は(実際には感染しているのに)「感染者ではない」というお墨付きを与えてしまうからです。
(若干、逆説的に見えますが)「検査をすればするほど感染蔓延のリスクが増える」と言われていたのは、こういった背景があったからです。

なお、PCR はラボレベルでは、DNA 数分子でも確実に増幅できる感度の高い検査ですが、臨床検査では咽頭ぬぐい液などを検体に使うため、どうしても感度は落ちます。

このようにPCR検査は、単体としてはそれほど信頼は高くない。

この欠点を上手く補って臨床に役立てたのは中国で、逆に闇雲に使って裏目に出たのが韓国という気がします。(→『COVID-19 -中国でのトリアージ-』)

なお、COVID-19 というのが傷病名(病気の名前)です。いわゆる新型コロナ感染症。ウイルス自体は、SARS-CoV-2 と言います。

 

猪股弘明(精神科医)