PHORLIX

概要

MacOS 上で稼働するフリーの(ここでは「無料の」という程度の意味)医療画像ビューアーは、2010 年代までは OsiriX が普及していた。

OsiriX がオープンソースではなくなったため、オープンソース時代の OsiriX から派生して Horos や HorliX などのプロジェクトが誕生したが、アップルが提供する開発環境が変化するにつれ

・画像描画が OpenGL に強く依存しており Metal への移行が極めて難しい

・ライブラリに x86_64 ベースのものがあり arm CPU への移行が困難

・GUI が Xib ベースであり、将来的にもサポートが受けられるか不安

などの問題が顕在化するようになった。

既存プロジェクトをベースに地道に移行・改良作業を行うというアプローチも考えられるが、これとは別に全く新規にプロジェクトを起こすというアプローチも考えられる。

2023 年、HorliX のメイン開発者であった猪股弘明氏が GW 中の「空いた時間を利用して」1 ヶ月程度で一からビューアのプロトタイプを作成した。

ここから PHORLIX プロジェクトが誕生した。

技術的特徴

上述の問題点を解消するため、グラフィック機能は完全に Metal のみで書かれている。また、ターゲットとなる CPU は arm アーキテクチャのみで Intel x86_64 アーキテクチャはサポートされていない。

GUI は Xib ベースではなく、storyboard 上で構築されている。

「フリー」ソフトウェア

PHORLIX は、クローズドの形で開始されたが、プロトタイプ作成時点では、「関係者の声を聞くため」そのソースコードが GitHub 上で一般に公開されていた。

しかし、 オープンソース開発方式継続への要求はまったくなく、プロジェクトへの貢献が少数の固定メンバーに限られていたため、関係者のみでソースコードを共有する管理方式に変更となった。

しかし、そのベータ版のバイナリが、開発者公式ページから「自由に」ダウンロードできるため、ここでは「フリーソフトウェア」として紹介した。

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